1.定義
少額訴訟とは、簡易裁判所を管轄とする、60万円以下の金銭の支払いを求める請求訴訟です。
2.解説
少額訴訟は、通常の民事訴訟より簡易迅速化された訴訟手続きで、平成10年に、創設されました。
少額訴訟手続を利用するためには、①訴額が60万円以下であること、②金銭の支払いに関する争いであることのほか、③同一原告については年に10回までの利用回数の制限があります。③の回数制限は、金融業者等が貸金回収のために少額訴訟手続きを濫用しないよう設けられたものです。
少額訴訟では、即時に取り調べができる証拠しか提出できず、原則として、第1回の裁判期日(口頭弁論)で審理が終わり、審理終了後直ちに判決が言い渡されます。少額訴訟の請求認容判決は、通常の民事訴訟のように直ちに一括払いを命じるような判決がだされるとは限りません。最大3年間の支払い猶予や分割払いが命じられる可能性があります。
借金トラブル、債務整理で問題となる貸金返還請求訴訟では、消費貸借契約書や借入申込書など、お金を借りる際に作成した借用書や基本契約書、借り入れの履歴、返済の履歴などが証拠として提出され、審理終了後直ちに判決が言い渡されます。ただし、借りたお金をすぐに返すよう判決で命じられるのではなく、被告(借主や保証人)の資産や収入状況に応じて、最大3年間の分割払いが命じられる可能性があります。
仮に、被告が、原告(貸主・金融機関側)に、過払い金返還請求権を有していても、少額訴訟では反訴ができません。原告に反訴したい場合は、被告が、初めに行う口頭弁論の前に、簡易裁判所での少額訴訟手続ではなく地方裁判所での通常訴訟手続への移行を求めれば、訴訟は通常訴訟手続に移行することとなります。このとき、原告は訴訟手続の移行について拒否する権利がありません。