1.定義
別除権とは、破産財団に属する特定の財産について、破産手続きによらないで、破産債権者よりも先に、債権の満足を受けることが出来る権利のことをいいます(破産法2条9項、第65条1項)。
2.解説
[別除権の効果]
破産手続き開始決定が出されると、通常の債権は、個別の取立てができなくなり、破産手続きにしたがい、配当によって弁済を受けることになります。
これに対して、別除権を有している場合、別除権の対象となる財産について、破産手続きによらないで個別に取立て、弁済を受けることができるのです。
[別除権の例]
別除権として、破産法上、特別の先取特権、質権、抵当権が規定されています。その他、商事留置権、譲渡担保権、所有権留保、仮登記担保なども別除権として扱われています。
これに対して、一般の先取特権は、破産者の総財産上に成立する権利であるため、別除権にはあたりません。
[別除権の行使方法]
別除権は、破産手続きによることなく、その具体的権利の行使方法に応じて担保権を実行することが出来ます。
例えば、抵当権であれば、競売などの強制執行を申立て、売却代金から弁済を受けます。なお、別除権を行使しても満額の弁済を得られなかった場合、不足額相当の債権は、通常の破産債権として扱われます。
3.参考条文
○破産法第2条9項
この法律において「別除権」とは、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者がこれらの権利の目的である財産について第六十五条第一項の規定により行使することができる権利をいう。
○破産法第65条1項
別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。