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給料の差し押さえ限度額は、原則として税金や社会保険料を控除した金額(手取り額)の4分の1です。
ただし、税金等を控除した月額給料の額が44万円を超える方については、33万円を超える部分について、全額差し押さえることが認められています。
給料の差し押さえについては、その4分の3に相当する部分については、差し押さえることができません(民事執行法152条)。逆にいうと、原則として4分の1に相当する部分は、差し押さえることが認められています。なお、ここでいう給料とは、額面ではなく、税金や社会保険料を控除した金額(手取り額)です。
ただし、この4分の3に相当する部分は差し押さえることができない、という規定の趣旨は、債務者の生活を保護するためです。そこで、税金等を控除した月額給料の額が44万円を超える方については、33万円を超える部分について、全額差し押さえることが認められています(民事執行法152条1項、民事執行法施行令2条)。
この場合、36万円の4分の1である9万円が差し押さえ可能額となるため、9万円が会社から差押債権者に対して支払われ、債務者は残りの27万円を会社から受け取ることができます。
この場合、税金等を控除した月額給料の額が44万円を超えるため、33万円を超える部分について、全額差し押さえることが認められます。
具体的には、60万円から33万円を差し引いた27万円が差し押さえ可能額となるため、27万円は会社から差押債権者に対して支払われ、債務者は残りの33万円を会社から受け取ることができます。
民事執行法
(差押禁止債権)
第百五十二条 次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
2 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
3 債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。
民事執行法施行令
(差押えが禁止される継続的給付に係る債権等の額)
第二条 法第百五十二条第一項各号に掲げる債権(次項の債権を除く。)に係る同条第一項(法第百六十七条の十四及び第百九十三条第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の政令で定める額は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額とする。
一 支払期が毎月と定められている場合 三十三万円
二 支払期が毎半月と定められている場合 十六万五千円
三 支払期が毎旬と定められている場合 十一万円
四 支払期が月の整数倍の期間ごとに定められている場合 三十三万円に当該倍数を乗じて得た金額に相当する額
五 支払期が毎日と定められている場合 一万千円
六 支払期がその他の期間をもつて定められている場合 一万千円に当該期間に係る日数を乗じて得た金額に相当する額
2 賞与及びその性質を有する給与に係る債権に係る法第百五十二条第一項の政令で定める額は、三十三万円とする。
住宅を残したまま借金を整理する方法には、一般的には任意整理と個人再生(住宅ローン特則)があります。
任意整理は、裁判所を介さない手続ですので、対象とする債権者を選択することができ、住宅ローンや自動車ローン以外の借金だけを対象とすることもできます。しかし、原則として借金自体を減額することは困難ですので、住宅ローンや自動車ローンに加えて他の借金もすべて支払う必要があります。
一方、個人再生(住宅ローン特則)は、住宅を残したまま、住宅ローン以外の借金自体を大幅に減額することができます。しかし、法律上の要件があり、利用できない場合もあります。また、自動車ローン等の一部の債権者を除外することもできません。
それぞれメリットとデメリットがありますので、弁護士とよく相談し、手続を選択する必要があります。
債務整理の方法には、一般的に、自己破産、個人再生、任意整理があります。
このうち、自己破産は一定額以上の財産を全て処分して、残りの借金を免除(免責)してもらう手続であるため、住宅も原則として処分することになります。したがって、任意整理と個人再生について、以下解説します。
任意整理は、弁護士が債権者と交渉し、毎月の返済額を減額する分割払いの和解をする手続です。通常、将来利息もカットされます。
任意整理は対象とする債権者を選択することができるため、住宅ローン債権者を対象から外すことで、住宅への影響を避けることができます。また、自動車ローンの返済中の自動車は、個人再生・自己破産の場合には債権者に返還しなければならないことがありますが、任意整理の場合は、自動車ローン債権者を対象から外すことで、自動車ローンを支払い続け、自動車を残すことができます。
ただし、任意整理は原則として借金自体を減額することは困難ですので、住宅ローンに加えて、他の借金を毎月支払っていく必要があります。また、あくまで任意の話し合いによるものですので、債権者が同意しなければ、分割払いの和解をすることはできません。
このことから、任意整理を選択できるのは、住宅ローンに加えて、任意整理した他の借金を毎月支払っていくことができる方、ということになります。なお、他の借金については、通常、法律上の元金、和解時までの利息、遅延損害金の合計額を、3年から5年に分割(36回から60回)して支払うことになります。
個人再生は、借金などの返済ができなくなった人が、全債権者に対する返済総額の一部を原則3年間で分割して返済する再生計画を立て、債権者の意見を聞いたうえで裁判所が認めれば、その計画どおりの返済をすることによって、残りの債務(養育費・税金など一部の債務を除く)などが免除されるという手続です。
再生計画に住宅資金特別条項を定めることによって、個人再生による借金の減額という利益を受けつつ、住宅ローンはそのまま払い続け、住宅を残すことができます。
ただし、次のようなデメリットがあります。
・個人再生をした事実が官報に掲載される
・自動車ローン返済中の自動車を返還しなければならない場合がある
・裁判所が個人再生委員を選任した場合、裁判所に納める予納金が必要になる
自動車ローン返済中の自動車が引き揚げられる、官報に掲載される等の個人再生のデメリットに問題がない方については、個人再生の住宅ローン特則(住宅資金特別条項)の利用を検討すべきといえます。
住宅ローン特則について詳しくは債務整理コラム「個人再生で住宅は残せるの?」をご参照ください。
この制度の利用にはいくつかの条件があるものの、自宅を処分せずに借金を大幅に減額できるという点において、経済的メリットが大きいものといえます。
小規模個人再生と給与所得者等再生の違いは、主に①利用できる方の収入の安定性の要否、②再生計画の返済総額、③債権者の(消極的)同意の要否、の3点にあります。
一般的には小規模個人再生を選択することが多いです。再生計画の返済総額が少ないこと、収入の安定性(収入の変動が少ないこと)という利用条件が不要であることが理由です。
ただし、小規模個人再生は債権者の(消極的)同意が必要となりますので、大口の債権者が再生計画案に反対する意向である場合、再生計画案が否決されることになります。この場合、給与所得者等再生を検討することになります。
個人再生手続には、小規模個人再生と、給与所得者等再生の2種類があります。
小規模個人再生は、個人の方全般を対象とした民事再生手続です。
小規模個人再生を利用するためには、①住宅ローンを除いた借金などの総額が5000万円以下で、②将来の継続的な収入の見込みがあること等が要件となります。
給与所得者等再生は、主に会社員等を対象とした民事再生手続です。
給与所得者等再生を利用できるのは、小規模個人再生を利用できる方(前述の①と②の条件を満たす方)のうち、給与等の定期的な収入があり、かつその額の変動が小さいと見込まれる方です。
給与所得者等再生は、小規模個人再生を利用できる条件を満たした上で、さらに安定した給与等の収入があることが必要とされています。すなわち、前述のとおり給与等の定期的な収入があり、かつその額の変動が小さいと見込まれる方でないと、利用することができません。
なお、収入の変動幅が小さいとは、過去2年間の年収ベースでの収入の変動が概ね20%程度であることが、目安とされています。
小規模個人再生では、清算価値又は最低弁済額のいずれか高い方の金額を返済する必要があります。最低弁済額は、負債の総額に応じて定められています。
これに対して、給与所得者等再生では、①清算価値、②最低弁済額、③可処分所得2年分のうち、一番高い金額を返済する必要があります。
可処分所得とは、所得から、一定の計算式に従って算出される最低限の生活費等を差し引いた金額であり、その2年分が返済金額となります。この生活費等は、生活保護を基準にした金額であるため、給与収入が多い方は、可処分所得が多くなります。
多くの場合、最低弁済額より可処分所得2年分の方が高くなりますので、給与所得者等再生の返済総額は、小規模個人再生の返済総額より高額になることが多いです。
小規模個人再生手続では、再生計画案に同意しない債権者が頭数の半数に満たず、かつ、同意しない債権者の債権額が債権総額の2分の1を超えないときは、再生計画案の可決があったものとみなされます。
例えば、債権者が10社で債務総額が1000万円の場合、5社が反対した場合又は反対する債権者の債権総額が500万円を超えた場合、再生計画案は否決となります。
一方、給与所得者等再生では、このような同意は必要とされていません。
小規模個人再生を利用できる場合は、小規模個人再生を選択するのが一般的です。なぜなら、小規模個人再生の方が再生計画の返済総額が少なく、収入の安定性の要件も不要であるからです。
ただし、小規模個人再生は、再生計画案に対して、前述のとおり債権者の消極的な同意(異議が出ないこと)が必要です。そのため、大口の債権者からの異議が見込まれる場合等は、給与所得者等再生を検討するのがよいでしょう。
お金を借りていた会社が倒産しても、その借金がなくなるわけではありません。支払先が変わる可能性はありますが、返す必要があります。
倒産とは、一般的には、会社の経営状態が悪化し、銀行などへの弁済が予定通りできなくなった状態のことをいいます。このような状態になると、会社も個人と同様に、債務整理を行う必要が生じます。
会社が債務整理を行う方法は、大きく分けて2つの方法があります。1つは任意整理(私的整理)、もう一つは法的整理です。
任意整理(私的整理)とは、会社と債権者(通常は銀行や取引先)との話し合いにより、会社の債務や財産を整理(いわゆるリスケ等)する方法です。
借入先の会社が任意整理(私的整理)を行った場合でも、借金は約定通り、返済する必要があります。
法的整理とは、会社が裁判所の手続を通して、会社の債務や財産を整理する方法です。以下では一般的なものを解説します。
会社が破産する場合でも、会社に対する借金は、破産手続の中で破産管財人に従前通り返済する必要があります。
破産手続の中で、破産管財人が貸金債権を債権譲渡(売却処分)した場合は、貸金債権を買い取った買主(債権の譲受会社)が、新たな債権者となるため、新たな債権者に借金を返していく必要があります。
なお、貸金債権が債権譲渡(売却処分)された場合、元々の貸主(又は新たな債権者との連名で)から、借主に対して、貸主が代わったことや、新たな返済先口座などを知らせる通知が来ることが通常です。債権譲渡通知の内容をよく確認する必要があります。
会社が民事再生・会社更生手続をとった場合でも、会社からの借入金は、従前の約定通り返済する必要があります。
お金を借りていた会社が倒産しても、借金はそのまま支払う必要があります。支払いをせずに放置していると、会社や破産管財人等から裁判をされる場合もあるため、支払いが難しい場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
契約書やカード、振込明細などの資料がない場合でも、任意整理することができます。
ただし、債権者が個人の場合は、正確な借金の額が確定できない場合があります。
任意整理をする場合、法律上の正確な債務(借金)の額を確定させる必要があります。いくら支払う必要があるのかが分からないと、返済計画が立てられないからです。
債権者が貸金業者の場合は、債権者側で債務者との取引に関する資料(これを「取引履歴」といいます)を保管しているため、債権者名が分かれば、債権者から取引履歴を取り寄せ、正確な債務の額を確定させることができます。
取引履歴の開示に応じない貸金業者がいる場合には、訴訟を提起し、その中の文書提出命令などの手続で開示を求めることができます。
仮に貸金業者の名前すら分からない場合であっても、個人信用情報等を利用して確認することも可能です。
一方、債権者が個人の場合、契約書や振込明細などがないと、借入金額や返済条件、返済内容が明らかにならず、債権者と債務者との間で借金の額等に争いが生じる場合があります。
自分で債務整理(任意整理、自己破産、個人再生)を行うことは可能です。過払い金の返還請求も同様です。
しかし、債務整理は専門的な知識や経験が求められ、貸金業者や裁判所への対応も必要となる場合があるため、これらを全て自分で行うことは一般的には難しいと考えられます。
また、弁護士に依頼することで、貸金業者からの督促や返済をストップできたり、有利な和解ができるケースも多いため、通常は弁護士に依頼する方が多いといえるでしょう。
任意整理は、債権者との話し合いで、返済総額や毎月の返済額を決めるものです。
借金の返済が厳しくなった場合、自分で債権者と交渉することも可能ですが、債務者に有利な条件で和解することは、通常難しいと考えられます。
一方、弁護士の場合、借金の総額、各債権者の残高、債務者の家計収支や支払可能額等を踏まえた上で各債権者と交渉するため、毎月の返済額の減額、将来利息のカット等、債務者に有利な内容で和解できるケースが多いといえます。
自己破産は、借金の支払いができなくなった場合に、裁判所に申立て、一定額以上の財産を全て処分した上で、残りの借金を免除してもらう手続です。
自己破産は裁判所の手続であり、借金の免責という明確な目的があることから、任意整理と比べて自分で行うことによる結果の違いは、一見ないとも考えられます。
しかし、膨大な書類の準備・作成、自己破産をするにあたっての注意点等の助言を受けられないこと、債権者や裁判所に対する対応を自分でしなければならないこと等を考慮すると、一般の方が自分で行うことは通常難しいものと考えらえます。
また、一定額以上の財産がある場合や免責不許可事由がある場合は、弁護士に依頼した場合よりも裁判所への予納金が増える可能性があります。
個人再生も基本的には自己破産と同様ですが、再生計画案の作成等、自己破産よりもさらに専門的な知識が要求されることから、通常は弁護士に依頼するケースが多いものと考えられます。
過払い金の返還請求は、払いすぎた利息を取り戻す手続です。過去に利息制限法を超える利率で借り入れと返済を繰り返していたような場合に、過払い金が発生します。
過払い金の返還請求も、自分ですることは可能ですが、通常貸金業者は任意での返還に応じません。仮に応じたとしても、極端に低い金額で和解させようとすることも多いため、一般的には弁護士に依頼するケースが多いと考えられます。
自己破産をした場合、既になされた給料の差し押さえは、裁判所の自己破産開始決定により、中止(同時廃止事件)又は失効(管財事件)となります。
同時廃止事件の場合は、免責決定の確定により、給料の差し押さえは効力を失い、給料の全額を受領することができるようになります。
管財事件の場合は、裁判所の開始決定が出た時点で、既になされている給料の差し押さえは効力を失うため、その後の給料は全額受領することができるようになります。
もっとも、いずれの手続であっても、多くの債権者は、破産申立て又は破産開始決定後に、差押えを取り下げますので、その後の給料を全額受領することができるようになります。
自己破産は、破産者が有する一定額以上の財産を処分・換価して、それを各債権者に平等に分配するとともに、裁判所が返済できなかった債務の支払義務を免除する(免責手続)制度です。
自己破産手続においては、上記のとおり債権者は平等に扱われるのが原則であるため、破産債権については、自己破産の開始により、個別に強制執行(差し押さえ等)を行うことができなくなります(破産法100条)。
既になされている給料の差し押さえの効力については、同時廃止事件と管財事件によって取り扱いが異なります。
同時廃止事件の場合、自己破産の申立てを行い、裁判所の開始及び廃止決定が出た時点で、既になされている給料の差し押さえは中止することになります(破産法249条1項)。その後、免責決定が確定すると、差し押さえは効力を失い(破産法249条2項)、給料の全額を受け取ることができるようになります。
開始及び廃止決定がでた時点から免責決定の確定までの間に差し押さえられていた給料は、免責決定の確定により、破産者が受け取ることができるようになります。
管財事件の場合は、自己破産の申立てを行い、裁判所の開始決定が出た時点で、既になされている給料の差し押さえは効力を失うことになります(破産法42条)。
その結果、自己破産開始決定後の給料は、全額破産者が受け取ることができます。自己破産の開始決定が出た時点で差し押さえが失効することから、同時廃止事件と比べて、給料を全額受け取ることができる時期が早いことになります。
多くの債権者は、破産申立て又は破産開始決定後に、給料の差押えを取り下げます。そのため、通常は、その後の給料を全額受領することができるようになります。
破産法
(他の手続の失効等)
第四十二条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。
2 前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。
(以下省略)
(破産債権の行使)
第百条 破産債権は、この法律に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ、行使することができない。
2 前項の規定は、次に掲げる行為によって破産債権である租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)を行使する場合については、適用しない。
一 破産手続開始の時に破産財団に属する財産に対して既にされている国税滞納処分
二 徴収の権限を有する者による還付金又は過誤納金の充当
(強制執行の禁止等)
第二百四十九条 免責許可の申立てがあり、かつ、第二百十六条第一項の規定による破産手続廃止の決定、第二百十七条第一項の規定による破産手続廃止の決定の確定又は第二百二十条第一項の規定による破産手続終結の決定があったときは、当該申立てについての裁判が確定するまでの間は、破産者の財産に対する破産債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分若しくは外国租税滞納処分若しくは破産債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行若しくは留置権(商法又は会社法の規定によるものを除く。)による競売(以下この条において「破産債権に基づく強制執行等」という。)、破産債権に基づく財産開示手続の申立て又は破産者の財産に対する破産債権に基づく国税滞納処分(外国租税滞納処分を除く。)はすることができず、破産債権に基づく強制執行等の手続又は処分で破産者の財産に対して既にされているもの及び破産者について既にされている破産債権に基づく財産開示手続は中止する。
2 免責許可の決定が確定したときは、前項の規定により中止した破産債権に基づく強制執行等の手続又は処分及び破産債権に基づく財産開示手続は、その効力を失う。
3 第一項の場合において、次の各号に掲げる破産債権については、それぞれ当該各号に定める決定が確定した日の翌日から二月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。
一 第二百五十三条第一項各号に掲げる請求権 免責許可の申立てについての決定
二 前号に掲げる請求権以外の破産債権 免責許可の申立てを却下した決定又は免責不許可の決定
通常は迷惑がかかります。
自己破産した場合、債権者から、保証人に対して、借金した本人に代わって返済するよう一括請求がなされます。仮に保証人が払えない場合、保証人自身も債務整理を検討する必要があります。
保証人とは、債権者と保証人の間の契約により、借金など債務を負っている人(主たる債務者といいます)が債務を返済できなくなった場合に、主たる債務者に代わって返済する義務を負う人のことをいいます。
主たる債務者が自己破産し、その債務を免責されたとしても、保証人の支払い義務はなくなりません。そのため、通常、債権者から保証人に対し、残っている債務の請求がされることになります。また、この請求は通常一括請求となるため、保証人が分割払いを希望する場合、改めて債権者と交渉する必要があります。
仮に、保証人が主債務者に代わって支払うことが難しい場合は、保証人も、債務整理を検討する必要があります。
民法
(保証人の責任等)
第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
(保証債務の範囲)
第四百四十七条 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。
自己破産手続き中、管財事件の場合は居住制限、通信の秘密の制限、資格制限を受けることになります。一方、同時廃止事件の場合は、上記のうち、資格制限のみを受けます。
自己破産をすると、一定の制限を受けることになります。制限の内容は、管財事件と同時廃止事件で異なります。
自己破産で、管財事件になると、破産手続き中、以下の制限を受けることになります。
居住制限とは、居住地を離れる(引越しや長期の旅行など)場合に裁判所の許可がいる、という制限です。
管財事件では、破産管財人には、破産者の財産等を調査する権限が与えられています。破産手続き中は、それらの調査のため、破産者宛ての郵便物は、破産管財人に転送され、破産管財人が開封して閲覧することになります。
破産による資格制限は、破産法には規定がなく、それぞれの資格を定めている法律によって制限されています。例えば、弁護士となる資格は、弁護士法7条5号によって、「破産者であって復権を得ない者」は弁護士となる資格を有しないと規定されています。
制限を受ける資格は、弁護士、税理士、司法書士、行政書士など士業のほか、警備員や後見人、宅地建物取扱主任者、生命保険の募集人、旅行業務取扱主任者など多種多様です。このような資格・職業制限の期間は、破産手続きの開始から、「復権」されるまで続くことになります。復権とは、権利が復活・回復することです。
復権については破産法に各定め(同法255条、256条参照)がありますが、多くの破産事件では、借金などの債務を免責する許可決定が確定したときに、復権することになります。
同時廃止事件では、上記の制限の内、管財事件と異なり、資格制限のみ受けることになります。
居住制限は、破産手続きの開始の効果として規定されていますが(破産法37条)、同時廃止事件では、破産手続きの開始と同時に破産手続きが廃止(終了)されるため、結局、このような制限はないことになります(ただし、住所の変更等は裁判所に報告する必要があります)。
また、通信の秘密の制限は、破産管財人の権限として認められており(同法81条、82条)、同時廃止事件では、破産管財人が選任されないため、この権限が行使されることもありません。
再生計画通りの支払いができない場合、再生計画の取消しに至る可能性があります。
支払いができない期間がごく短期で一時的な理由の場合は、債権者に事情を説明して猶予を得る等の方法が考えられます。しかし、病気等により長期間又は全く支払いの見通しが立たない場合は、再生計画の変更や自己破産も検討する必要があります。
リストラや病気等の理由により、再生計画通りの返済ができなくなるケースもあります。そのような場合、以下の方法が考えられます。
この方法は、再生計画通りの支払いができない期間がごく短期的・一時的である場合の方法として考えられます。
返済期限前に債権者に連絡し、一時的に返済できない事情、すぐに追加入金が可能な事情等を説明し、債権者の了承を得られれば、通常は再生計画の取消し(民事再生法189条1項2号)までには至らないものと考えられます。
支払いの見通しは立つものの、支払いができない期間が比較的長期になる場合、再生計画の変更の申立てが考えられます。
再生計画の変更とは、債務者が、やむを得ない理由で再生計画を遂行することが著しく困難となった場合に、申立てにより、当初の再生計画から2年を超えない範囲で、返済計画の延長を認める制度です(民事再生法234条、244条)。
ただし、単に支払いが厳しいなどの理由では再生計画の変更は認められず、例えば、勤務先の倒産や病気等がここでいうやむを得ない理由に該当します。
ハードシップ免責は、病気等債務者に責任がない理由によって残債務の支払いができない場合に、残りの債務を免除してもらう方法です。
既に返済総額の4分の3以上を支払済であること、再生計画の変更(2年間の延長)では支払える見込みがないこと等の厳格な要件を満たすときに利用できますが、実際はほとんど利用されていません。
なお、ハードシップ免責が認められると、住宅ローン特則を利用していた場合でも、抵当権の実行により住宅を失うおそれがあります。
今後の支払いができない場合は、新たに自己破産の申立てを行うことも検討する必要があります。
いずれの方法をとるにしても、支払いが遅れて再生計画が取り消されれば、再生計画による減免や期限の猶予の効力が消滅してしまいます。
支払いができなくなった場合は、直ちに弁護士に相談することをお勧めします。
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