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回答
個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)は、債務者の住宅という生活基盤を保持して再建を図るために設けられた特別の制度です。そのため、制度の利用には、様々な要件を満たす必要があります。主なものは、以下のとおりです。
・債務者が所有している建物であること
・住宅が、自己の居住の用に供する建物であること
・対象となる債権が、住宅ローンであること
・抵当権が住宅に設定されていること
・上記以外の担保権が住宅に設定されていないこと
・保証会社による代位弁済がされている場合は、代位弁済日から6か月以内であること
・個人再生の一般的要件を満たしていること
解説
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用するための基本的な要件は、次のとおりです。
1.債務者が所有し(共有も可)、居住していること
投資用、事業用などの場合は利用できません。ただし、店舗兼住宅のような場合、建物床面積の2分の1以上が居住用であれば、利用できます。居住用建物が複数ある場合は、主として居住している建物のみが対象となります。
2.住宅ローンであること
住宅(土地も含みます)を建設・購入・改良するためのローンであることが必要です。改良には、住宅のバリアフリー工事等も該当します。
3.抵当権が設定されていること
住宅ローン債権について、住宅に抵当権が設定されていることが必要です。なお、抵当権者は、住宅ローンの保証会社(保証会社による求償債権を担保する抵当権の場合)でも構いません。
4.住宅に住宅ローン以外の後順位抵当権が設定されていないこと
例えば、事業者ローンやその他の貸付けにかかる抵当権等が設定されている場合、原則として住宅資金特別条項(住宅ローン特則)は利用できないことになります。
5.代位弁済から6か月以内であること
住宅ローンには、通常保証会社がついています。住宅ローンを一定期間滞納すると、保証会社が債務者の代わりに住宅ローンを支払うことになります。これを代位弁済といいます。
代位弁済がされた場合、保証会社が債権者となり、住宅ローンとはいえなくなるため、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用できなくなります。しかし、代位弁済の日から6か月以内に個人再生の申立てがなされた場合は、代位弁済はなかったものとして、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することができます(民事再生法198条2項)。
6.個人再生の一般的な要件を満たしていること
個人再生の一般的な要件は、借金の返済が不可能となるおそれのあること、債務者が個人であること、継続的な収入が見込まれること、住宅ローンを除いた負債総額が5000万円以下であること、等があります。