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自己破産により給料の差押えはどうなるか

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自己破産した場合、給料の差し押さえはどうなりますか

回答

自己破産をした場合、既になされた給料の差し押さえは、裁判所の自己破産開始決定により、中止(同時廃止事件)又は失効(管財事件)となります。

 

同時廃止事件の場合は、免責決定の確定により、給料の差し押さえは効力を失い、給料の全額を受領することができるようになります。

 

管財事件の場合は、裁判所の開始決定が出た時点で、既になされている給料の差し押さえは効力を失うため、その後の給料は全額受領することができるようになります。

 

もっとも、いずれの手続であっても、多くの債権者は、破産申立て又は破産開始決定後に、差押えを取り下げますので、その後の給料を全額受領することができるようになります。

 

解説

1.自己破産と差し押さえ手続

自己破産は、破産者が有する一定額以上の財産を処分・換価して、それを各債権者に平等に分配するとともに、裁判所が返済できなかった債務の支払義務を免除する(免責手続)制度です。

 

自己破産手続においては、上記のとおり債権者は平等に扱われるのが原則であるため、破産債権については、自己破産の開始により、個別に強制執行(差し押さえ等)を行うことができなくなります(破産法100条)。

 

既になされている給料の差し押さえの効力については、同時廃止事件と管財事件によって取り扱いが異なります。

 

2.同時廃止事件の場合

同時廃止事件の場合、自己破産の申立てを行い、裁判所の開始及び廃止決定が出た時点で、既になされている給料の差し押さえは中止することになります(破産法249条1項)。その後、免責決定が確定すると、差し押さえは効力を失い(破産法249条2項)、給料の全額を受け取ることができるようになります。

 

開始及び廃止決定がでた時点から免責決定の確定までの間に差し押さえられていた給料は、免責決定の確定により、破産者が受け取ることができるようになります。

 

3.管財事件の場合

管財事件の場合は、自己破産の申立てを行い、裁判所の開始決定が出た時点で、既になされている給料の差し押さえは効力を失うことになります(破産法42条)。

 

その結果、自己破産開始決定後の給料は、全額破産者が受け取ることができます。自己破産の開始決定が出た時点で差し押さえが失効することから、同時廃止事件と比べて、給料を全額受け取ることができる時期が早いことになります。

 

4.差押えの取下げ

多くの債権者は、破産申立て又は破産開始決定後に、給料の差押えを取り下げます。そのため、通常は、その後の給料を全額受領することができるようになります。

 

参考条文

破産法

(他の手続の失効等)

第四十二条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。

2 前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

(以下省略)

 

(破産債権の行使)

第百条 破産債権は、この法律に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ、行使することができない。

2 前項の規定は、次に掲げる行為によって破産債権である租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)を行使する場合については、適用しない。

一 破産手続開始の時に破産財団に属する財産に対して既にされている国税滞納処分

二 徴収の権限を有する者による還付金又は過誤納金の充当

 

(強制執行の禁止等)

第二百四十九条 免責許可の申立てがあり、かつ、第二百十六条第一項の規定による破産手続廃止の決定、第二百十七条第一項の規定による破産手続廃止の決定の確定又は第二百二十条第一項の規定による破産手続終結の決定があったときは、当該申立てについての裁判が確定するまでの間は、破産者の財産に対する破産債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分若しくは外国租税滞納処分若しくは破産債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行若しくは留置権(商法又は会社法の規定によるものを除く。)による競売(以下この条において「破産債権に基づく強制執行等」という。)、破産債権に基づく財産開示手続の申立て又は破産者の財産に対する破産債権に基づく国税滞納処分(外国租税滞納処分を除く。)はすることができず、破産債権に基づく強制執行等の手続又は処分で破産者の財産に対して既にされているもの及び破産者について既にされている破産債権に基づく財産開示手続は中止する。

2 免責許可の決定が確定したときは、前項の規定により中止した破産債権に基づく強制執行等の手続又は処分及び破産債権に基づく財産開示手続は、その効力を失う。

3 第一項の場合において、次の各号に掲げる破産債権については、それぞれ当該各号に定める決定が確定した日の翌日から二月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。

一 第二百五十三条第一項各号に掲げる請求権 免責許可の申立てについての決定

二 前号に掲げる請求権以外の破産債権 免責許可の申立てを却下した決定又は免責不許可の決定

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