回答
再生計画通りの支払いができない場合、再生計画の取消しに至る可能性があります。
支払いができない期間がごく短期で一時的な理由の場合は、債権者に事情を説明して猶予を得る等の方法が考えられます。しかし、病気等により長期間又は全く支払いの見通しが立たない場合は、再生計画の変更や自己破産も検討する必要があります。
解説
リストラや病気等の理由により、再生計画通りの返済ができなくなるケースもあります。そのような場合、以下の方法が考えられます。
1.債権者に事情を説明し、猶予を依頼する
この方法は、再生計画通りの支払いができない期間がごく短期的・一時的である場合の方法として考えられます。
返済期限前に債権者に連絡し、一時的に返済できない事情、すぐに追加入金が可能な事情等を説明し、債権者の了承を得られれば、通常は再生計画の取消し(民事再生法189条1項2号)までには至らないものと考えられます。
2.再生計画の変更
支払いの見通しは立つものの、支払いができない期間が比較的長期になる場合、再生計画の変更の申立てが考えられます。
再生計画の変更とは、債務者が、やむを得ない理由で再生計画を遂行することが著しく困難となった場合に、申立てにより、当初の再生計画から2年を超えない範囲で、返済計画の延長を認める制度です(民事再生法234条、244条)。
ただし、単に支払いが厳しいなどの理由では再生計画の変更は認められず、例えば、勤務先の倒産や病気等がここでいうやむを得ない理由に該当します。
3.ハードシップ免責
ハードシップ免責は、病気等債務者に責任がない理由によって残債務の支払いができない場合に、残りの債務を免除してもらう方法です。
既に返済総額の4分の3以上を支払済であること、再生計画の変更(2年間の延長)では支払える見込みがないこと等の厳格な要件を満たすときに利用できますが、実際はほとんど利用されていません。
なお、ハードシップ免責が認められると、住宅ローン特則を利用していた場合でも、抵当権の実行により住宅を失うおそれがあります。
4.新たに自己破産を申し立てる
今後の支払いができない場合は、新たに自己破産の申立てを行うことも検討する必要があります。
いずれの方法をとるにしても、支払いが遅れて再生計画が取り消されれば、再生計画による減免や期限の猶予の効力が消滅してしまいます。
支払いができなくなった場合は、直ちに弁護士に相談することをお勧めします。